静かな、静かな家具がやってきた。
ナラの木のサイドボード。
テレビを乗せようとして、ためらった。
この清らかな佇まいにあまりにも似合わない。
だから、テレビのない暮らしが始まった。
カーテンを外した時から光を感じる暮らしが始まり、
ウッドデッキができた時から庭が日常の空間に加わり、
このナラの家具が、せわしい生活に静けさをもたらしてくれる。
この静けさには覚えがある。
遠い昔々の記憶かもしれない。
日々、家具を眺めながら暮らす。
家具に眺められながら、年を経る。
静かな家具のある風景。
作家: 尾崎 耕将 Calanthe(カランセ)