2015年1月13日火曜日

本の香り。






注文していた本がドイツから届いた。
デザインから製本まで、本作りの全ての行程を自社で
手掛ける妙なる出版社、Steidl(シュタイデル)の本。
アンリ・カルティエ=ブレッソンの写真集
『Image à la sauvette(逃げ去る映像)』の復刻版。
本と一緒に届いたのは、一枚の白い厚紙に美しく印刷された
ゲルハルト・シュタイデル氏の言葉。

「紙を指で触る。
 反射する光で調べてみる。
 ページの上の影を眺める。
 それはたまらなくわくわくすることだ。
 そしてそこにはもちろん、香りがある。
 印刷において、特定の紙に対して起こる
 化学反応はインクの種類によって全て違ってくる。
 だから私は、調香師のように、自分の香りを紙の上に作る。」

届いた本とその一枚の厚紙に鼻を近づけたのは言うまでもない。
インクの香りと紙の香りを吸い込む。

Steidl社の本作りを追ったドキュメンタリーフィルム、
『世界一美しい本を作る男〜How to Make a Book with Steidl』
の中でのシュタイデル氏の言葉を思い出す。

「ページをめくる音や香り、全てが本の要素なのです。」

ページをめくる音にも耳を傾けながら、ゆっくり写真集を味わう。

やっぱり、絶対に、本は紙が良い。

https://steidl.de/